狐野 扶実子

食プロデューサー。1997年、パリの名門料理学校「ル・コルドン・ブルー」を首席で卒業。その後、パリの三つ星レストラン「アルページュ」にてスーシェフを務める。

2001年からはパリを拠点に、世界各国のVIPを顧客とする「出張料理人」として活動。シラク元フランス大統領夫人、ムバラク元エジプト大統領夫人をはじめ、各界の著名人の食卓を手がけ、国際的に活動の場を広げる。

その後、パリの老舗「FAUCHON(フォション)」でエグゼクティブ・シェフを務め、現在はアラン・デュカス氏が主宰する料理学校で講師を務める一方、日本では食に関するプロデュースやコンサルティングなど幅広く活動。JALミールサービス総合プロデューサーとして、機内食の新たな価値創造に向けたコンセプトづくりやアドバイスを担う。

さらにニューヨークでは、現地のライフスタイルや食のトレンドを取り入れたカフェメニューの企画・開発にも携わるなど、パリ、日本、ニューヨークを舞台に、サステナビリティの視点を大切にしながら、これまでにない豊かな「食体験」と食の新たな可能性を提案し続けている。

食材との対話

料理は、食材に触れた瞬間から始まります。
目の前の食材が何を語りかけているのか。その声に耳を澄ませながら、一皿を仕上げていく。私が大切にしているのは、そんな「食材との対話」です。

例えば、待ちに待った春先の野菜たち。むやみに皮をむくのはかわいそう。できるだけストレスを与えないよう、ゆっくりと火を入れていく。そうすることで、本来の香りや風味、みずみずしさを閉じ込めたまま、その野菜が持つ本当のおいしさを引き出すことができます。

寒い冬を耐え抜き、季節の訪れとともに芽吹いた野菜。その生命力までも、料理を通して身体に取り込んでいく。私は、料理とは自然と人をつなぐ行為でもあると考えています。

フランス語で「味付けする」を意味する assaisonner という言葉には、saison(季節)という言葉が含まれています。

つまり豊かな四季の変化に身も心も委ねるように、季節の食材をその季節に合わせた味付けをする。そうすれば、自ずと体にやさしく、素直に「おいしい」と感じられる料理が生まれます。

そんな料理を毎日積み重ねていると、食卓を囲む人々の笑顔がますます待ち遠しくなるはずです。

ポジティブなヘルシー

大切にしたいのは「ポジティブなヘルシー」。
我慢やカロリー制限を強いるのではなく、新鮮な野菜の美味しさを最大限に引き出し、
「からだがリラックスし、心もホッと温まる」ような、心身ともに満たされるヘルシーな食体験を指します。

五感を研ぎ澄ます

料理は、マニュアルだけで完成するものではありません。

食材の「色」「香り」「手触り」「音」、そして味。五感を研ぎ澄ませながら、その日の食材の状態を見極め、火入れや調理法を決めていきます。

同じ食材であっても、季節や気候、収穫された日の状態によって、その表情は異なります。だからこそ、一つひとつの素材に向き合い、その瞬間に最もふさわしい方法を探していくことを大切にしています。

素材を丸ごと活かすサステナビリティ

サステナビリティとは、単に「捨てない」ことではなく、食材が持つ可能性を最後まで見つめることだと考えています。

野菜の皮や種、わたなど、一般には捨てられてしまう部分にも、それぞれ異なる香りや食感、旨味があります。

それらを「一つの食材」として捉え直し、新しいおいしさへと変えていく。無駄を減らすことと、料理人としてのクリエイティビティを両立させながら、素材の生命をできる限り余すことなく生かしていきます。

物語の紡ぎ手としての料理

一皿の料理の背景には、必ずストーリーがあります。

食材が育った土地や気候、生産者の想い、そこに受け継がれてきた文化や歴史。そうした「コンテクスト」を理解することも、料理の大切な一部です。

料理人は、食材を調理するだけではなく、その背景にある物語を受け取り、一皿を通して次の人へと伝える「物語の紡ぎ手」でもあると考えています。

おいしさの食体験デザイン

私が目指すのは、皿の上だけで完結する「おいしさ」ではありません。

料理の味や香りはもちろん、空間、時間、そこに集う人々、食材が生まれた背景や作り手の想いまでを含めた、一連の「食体験」をデザインすること。

何を食べるのかだけではなく、どこで、誰と、どのような気持ちで味わうのか。そしてその食べ物の背景を知ることも、おいしさを作り出す要素だと考えています。

そして、その食べ物に関わる人々の想いに寄り添いながら食べることによって、食は単なる栄養や嗜好を超え、人と自然、人と社会、人と人とをつなぐ力を持つようになります。
「おいしい」という喜びを起点に、心と身体を豊かにする食体験を生み出し、その先にあるウェルビーイングへとつながっていく。

それが、私の考える料理であり、食の可能性です。

1997Grand Diplôme  LE CORDON BLEU PARIS ル・コルドン・ブルー・パリ
料理・製菓部門ともに首席で卒業
1997 – 2001Sous Chef  Arpège
ミシュラン3ツ星レストラン「Arpège」でAlain Passard氏に師事。3年でスーシェフ(副料理長)に就任
2001 – 現在Globally active private chef
パリを拠点に出張料理人として独立。シラク元大統領夫人、ムバラク元大統領夫人をはじめ、ロンドンやジュネーヴ、北米など政界財界のVIPを顧客に持つ
2005 – 2008Executive Chef  Fauchon
パリの老舗「Fauchon」で初の女性・東洋人のエグゼクティブシェフに抜擢
2009 – 2011Culinary Consultant  Galerie Lafayette
パリの百貨店「Galerie Lafayette」のレストランコンサルタント
2009 – 現在Visiting Chef Instructor  École Ducasse Paris Studio
アラン・デュカスが創設したパリの料理・製菓学校で客員講師
2013 – 現在Inflight Meal Consultant  JAPAN AIR LINES  URL
国際線ファースト&ビジネスクラスの機内食メニューの開発を担当。
2024 – 現在講師  京都芸術大学通信教育部食文化デザインコース
科目「おいしさの食体験デザイン」を担当
2025 – 現在Meal Service General Advisor  JAPAN AIR LINES  URL
JALミールサービス総合アドバイザーとして、新たな価値創造に向けて機内食全般&空港ラウンジの食事などのコンセプト作りやアドバイスを担う。
2026 –講師  慶應義塾大学 Keio STAR
地球と人間のウェルビーイングを両立させるための未来の食体験の創造や、ビヨンドSDGsを推進するための研究・提言を行う。
2006 『世界が認めた日本人女性100人』  Newsweek  URL
2007 『フミコのやわらかな指―料理の生まれる風景』  朝日出版社  URL
2009 『ルベイとフミコのビストロ・ヌーヴォー』  文藝春秋
2009 『「LA CUISINE DE FUMIKO」フミコの120皿』  アルバン・ミッシェル社  URL
2010 『狐野扶実子の美味しいパリ』  文化出版局  URL
2014『世界出張料理人』  角川書店  URL
2015 『パリのおいしい空気』  集英社  URL
2019 『おもてなしのシンプルフレンチ』  世界文化社  URL
2009 Grand Prix  Brazier Prize
パリのアルバン・ミッシェル社から出版した著書『LA CUISINE DE FUMIKO』がブラジエ賞のグランプリを受賞
2010
World’s Best Female Chef Award  the Gourmand World Cookbook Awards  URL
料理本のアカデミー賞、グルマン料理本大賞の女性シェフ部門で『LA CUISINE DE FUMIKO』が世界最優秀賞を受賞

Japan

2004 『情熱大陸』出演  MBS毎日放送  URL
2005 『美女たちの食卓スペシャル「天才の一皿」』出演  日本テレビ
2008 『世界を変える100人の日本人!JAPAN☆ALLSTARE』出演  テレビ東京
2010–2011『ドモホルンリンクル』CM出演  再春館製薬所  URL
2011 『旅のチカラ』出演  NHK BSプレミアム  URL
2012 『オデッサの階段』出演  フジテレビ
2013 『デザインあ』出演  NHK Eテレ
2014 『あさイチ』出演  NHK
2020 『THE突破ファイル』出演  日本テレビ
2020 『東京会議presents「リモートシェフ」』出演  BSフジ
2023 『午前0時の森』出演  日本テレビ
2026 『3分クッキング』出演  日本テレビ

France

2003『Bon Appetit Bien Sur de Joel Robuchon』出演  France 3
2004 『Tokyo Bleu et Sushis Confits』ドキュメンタリー映画出演  監督Frederic Laffont, France 5  URL
2009 『ACTU & CO』出演  CAP24